次の日、8月10日は、大崎の鹿島台児童館での「書」のワークショップ。
子どもたちに書道をしてもらうのです。といっても、書道家・山田麻子さんがかねてから各地、海外でも行っている「遊びま書」というもの。当日は児童館の子ども、1年生から4年生48人。まず、児童館から外に出て、石を拾い雑草を引き抜いてきます。石を文鎮に、雑草を筆にして墨汁をたっぷりつけ、畳半畳ほどの大きな半紙に「文字」を書きます。この文字、というのがやはりかぎですね。棒でも何でもいいというのではないんです。みんな最初おずおずと、でも2枚目くらいから相当大胆になってきます。もちろん、草だけでなくて、手や足を使ってもいいのですから、館内は相当にヒートアップ。この頃の気温、覚えていますか?はい、日々最高気温が更新されていたときです。最後は畳1畳もの大きな半紙に挑戦しました。
麻子先生のお手本。石の文鎮、根っこの筆。なにより、はだしで半紙にまたがる!
さあ、果たしてその作品は?!
太い線、真っ黒な半紙の子。ほそくて小さな字だけど、勢いがある子。個性がいろいろに花開きます。選んだ文字、言葉も、様々です。自分の名前、兄弟の名前。家族、思い、夢・・・。
戦い済んで・・・。半紙もシートも大人もこどもも、真っ黒です!
「遊びま書」は書、というより、こころとからだのワークショップでした。子どもたちは、震災以降、多くを語らず、できるだけ普通どおりに暮らしていたのだと思います。大人たちに心配かけまいと、むしろ遠慮したり、ちょっとおとなしく。でもこの日は違います。自分ひとりの世界なんだけど、思いっきり身体も動かし、頭も使い、自分で自分を解放していっていたようです。もちろんひとりひとり個性があるので、声もアクションも大きな子から、ジーっと黙って黙々と作業する子から、様々です。字も大きい小さい、太い細い、それぞれです。でも、お互いを干渉したり、遠慮しあったりしていない様子からは、むしろとても子どもらしい真の明るさを感じました。
すごいワークだな、と思いました。青いビニールシートやら半紙やらを大量に持ってきて、なにより、自分が率先してまっくろになってみんなとコミュニケーションした麻子先生!終わって片付けているときに、ワーク中一番おとなしかった女の子が、麻子先生・・・といって抱っこされにやってきました。これもからだとからだのふれあい。アートの力を、また違う形で知った瞬間でした。 (またまた続く)
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